物損事故の損害賠償

交通事故の物損事故の損害賠償については、修理費・買替差額・評価損・代車使用料・休車損害などが賠償の対象となり得ます。

修理費と買替差額に関して

まず、「修理費」については、交通事故から受けた損傷として、必要性・相当性がある範囲内で認められます。修理が不可能な場合などは、「買替差額」が認められます。「買替差額」とは、事故時の被害車両の時価相当額(再取得額)と、下取り代金やスクラップ代金といった売却代金との差額のことをいいます。

評価損に関して

 「評価損」については、車の修理を行って、車体の機能が回復したとしても、事故歴・修復歴があることで、その自動車の評価は下落します。この車両の評価の下落分が、損害として認められており、「評価損(格落ち損)」といいます。また、「代車使用料」については、営業や通勤・通学のために、日常的に自動車を使用していた場合に認められる賠償です。休日くらいにしか車両を利用していなかったような場合には、代車使用料の賠償は認められません。

 賠償が認められる代車の使用期間は、客観的に修理が必要な期間とされます。損傷の程度にもよりますが、1週間~2週間程度が一般的です。また、買替費用の賠償が認められる場合の代車使用料については、通常車両を取得するのに必要な期間として、1カ月程度の代車使用料が認められています。

休車損害に関して

 「休車損害」については、タクシーやトラックなどの営業用車両が、事故によって修理又は買替が必要となった場合に、通常必要な期間中に、事故に遭ってなければ得られたであろう営業利益のことです。代車損害(営業利益)が認められるためには、実際に被害者に、営業損害が発生していることが条件となります。休車損害の計算方法は、事故前の数か月ないし1年程度の収入から、ガソリン代などの諸経費を除いた1日あたりの利益に、修理または買替に必要な期間をかけて計算されます。

自動車が全損、あるいは修理が不可能な場合

 自動車が全損、あるいは修理が不可能な場合には、交通事故時の自動車の時価が損害額となります。買替費については、交通事故直前の車の時価を基準とします。減価償却、再取得額の時価の算出方法について、ご紹介します。一般の乗用車の法定耐用年数は6年です。新車登録直後~1カ月以内の自動車であれ、1日あたりおよそ0.1%減価し、1カ月に3.2%減価します。
 基本的には、新車登録後1カ月~1年までの車については、中古車情報を複数収集し、その平均価格を求めます。登録後1年~7年までの車については、通称レッドブックと呼ばれる「自動車価格月報」の中古車価格の小売欄を参考にします。8年以上の車については、6年を経過すると車の価格は、新車購入価格の10%となります。