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交通事故で難聴?耳鳴り?耳の後遺障害認定・慰謝料と弁護士相談

 交通事故で耳の後遺障害のイメージ

十分に注意を払っていても、日常生活で交通事故に巻き込まれる可能性はあります。交通事故で被害に遭った人に向けて、日本では「後遺障害認定」と呼ばれる制度を整え、被害者保護に努めています。
こうした後遺障害認定は、損傷部位によって等級が異なり、 慰謝料逸失利益が変わります。そこでここでは「耳の後遺障害」に関する説明をしていきます。

 

■耳の機能とは?

 

耳は聴力の役割を持つ部位で、他の人とコミュニケーションを取るには必須の機能です。したがって、耳に障害が起きると日常生活に支障をきたすことは間違いありません。

 

耳が聞こえなくなってしまう症状としては、例えば鼓膜が破れてしまうこと等があります。こうした症状により、聴力が機能しなくなってしまいます。また、加齢によって耳が遠くなる「加齢性難聴」なども耳の障害の1つです。

 

こうした耳の障害は、治療や補聴器など矯正器具を使うことによって、ある程度まで聴力が改善します。しかし、交通事故で耳の障害を負うと、治療だけでは治らない(後遺症が残る)可能性もあります。こうした障害を「後遺障害」といい、その部位や程度によって慰謝料などを受け取れることになっています

 

なお、耳の障害を負うと他人との意思疎通に相当な制限が発生します。したがって、外傷以上に精神的な苦痛を負う可能性もあります。そのため、こうした苦痛も含めた慰謝料を請求することが重要です。

 

■耳の障害の種類…「聴力障害」と「欠損障害」

 

交通事故による耳の障害は、大きく2つに分類することが可能です。それが「聴力障害」「欠損障害」です。なお、これに付随して「耳漏」「耳鳴り」についても規定されているので、こちらも一緒に説明します。

 

(1)聴力障害とは?

聴力障害は「耳が聞こえなくなる」症状のことです。聴力の種類は、音そのものを聞き取る「純音聴力」と、言葉を聞き分ける「語音聴力」の2つがあります。そして聴力障害には、これらが全く聞こえない「聴力喪失」と、一部の音が聞こえない「聴力低下」が認められています。

 

(2)欠損障害とは?

欠損障害は「耳介(耳そのもの)を失う」症状のことです。耳介とは、外に張り出している部位で、耳として認識できる部位のことを言います。ここを「2分の1以上損失」している場合に、欠損障害として認められます。

 

なお、欠損障害は他の後遺障害である「醜状障害」として認められることもあります。どちらが認められるかは認定によって異なるでしょう。そこで後遺障害に強い弁護士に依頼して、被害者の権利を保護してもらうことが大事です。

 

(3)耳漏とは?

耳漏は「鼓膜に穴が開いてしまう」症状、もしくは「耳から分泌物が出る」症状のことを言います。耳漏だけでは、後遺障害認定を受けることは困難です。しかし「難聴を伴う耳漏」に該当する場合、後遺障害認定を受けることができます

 

(4)耳鳴りとは?

耳鳴りとは「常に音が聞こえている」症状のことです。実際に周りで音がなっているわけではないのに、「キーン」とした音が響きます。こちらも耳鳴りだけでは、後遺障害認定を受けられません。ただし「難聴を伴う耳鳴り」の場合は、後遺障害認定を受けられます

 

なお、耳鳴りの症状は神経系に異常をきたしている可能性もあります。「脳やその他の部位にも損傷が起きていないか」を検査しておくことも肝心です。

 

■耳の障害の後遺障害認定等級は?

 

耳の障害の場合、その損傷部位や障害内容によって「後遺障害認定等級」が定められています。この等級は自賠法施行令によって定められており、1級から14級まであります。等級が1級に近いほど重度の障害として認められ、慰謝料の金額や逸失利益が高額になります。

 

(1)聴力障害

聴力機能の後遺障害認定は、「両耳か?片耳か?」と、「どの程度聞こえなくなったか?」の2つによって決められます。7等級・13種類があるので違いをしっかりと確認しておきましょう。

 

後遺障害認定等級

後遺障害認定の認定基準

後遺障害等級4級3号

両耳の聴力を全く失う

後遺障害等級6級3号

両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になる

後遺障害等級6級4号

1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になる

後遺障害等級7級2号

両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になる

後遺障害等級7級3号

1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になる

後遺障害等級9級7号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になる

後遺障害等級9級8号

1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になる

後遺障害等級10級5号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になる

後遺障害等級11級5号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になる

後遺障害等級9級9号

片耳の聴力を全く失う

後遺障害等級10級6号

片耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になる

後遺障害等級11級5号

片耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になる

後遺障害等級14級3号

片耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になる

 

(2)欠損障害

耳介の欠損障害の場合、欠損具合が「軟骨部の2分の1以上を占める」場合にのみ12級が該当します。なお、醜状障害が認められれば最大で、7級の後遺障害認定も併合されることがあります。

 

後遺障害認定等級

後遺障害認定の認定基準

後遺障害等級12級4号

片耳の耳殻の大部分を欠損する

 

(3)耳漏

耳漏の後遺障害が見られる場合、その程度により12級、もしくは14級が認められます。

 

後遺障害認定等級

後遺障害認定の認定基準

後遺障害等級12号

常時耳漏がある

後遺障害等級14号

その他の耳漏

 

(4)耳鳴り

耳鳴りの後遺障害は、その程度によって12級、または14級が認められています。

 

後遺障害認定等級

後遺障害認定の認定基準

後遺障害等級12号

著しい耳鳴りが常時あると評価できるもの

後遺障害等級14号

常時耳鳴りのあることが合理的に説明できる

 

 

■耳の障害を立証するポイント

 

耳の障害を立証するには、専門の医療機関にて聴力を正しく検査する必要があります。そして医学的な根拠を基に、交通事故と後遺症の因果関係を立証する必要があります。そこで、耳の障害を検査する方法について説明をします。

 

(1)聴力障害の立証ポイント

聴力障害は「純音聴力」「語音聴力」の2つを検査する必要があります。まず純音聴力は「聴覚検査法」によって検査します。こちらは耳に検査機器を当てて、「ピー」という音と「プー」という音を聞き分ける検査です。これによって聴力がどのくらい残っているかが分かります。

 

また語音聴力は「標準聴力検査法Ⅱ語音」によって検査をします。こちらは「あ」「い」「う」などの音や「1」「2」「3」などの音を聞き分ける検査です。こちらを行うことで、明瞭度を調べることが可能です。

 

こうした2つの検査をすることで、聴力障害の程度を測定できます。これが耳の障害を立証する際に重要になっています。

 

(2)欠損障害の立証ポイント

欠損障害は損傷した耳介が「2分の1以上損傷しているか」によって立証できます。客観的に損傷度合いが把握しやすいので、専門の医療機関にて損傷の程度を診断してもらうようにしましょう。

 

なお、2分の1以上の損失がなくても、醜状障害が認められる可能性があります。したがって、交通事故で耳介を損傷したら医療機関で該当箇所を診察してもらうことが肝心です。

 

(3)耳漏の立証ポイント

聴力検査を受けたうえで「難聴認定」を受け、かつ治療後に「耳漏」が残っている場合に限り、耳漏の後遺障害認定を受けられます。そのため、耳漏を立証するには、まず「聴力検査」を受けることが肝心です。その上で、専門の医療機関にて耳漏の後遺症を認められることが、後遺障害認定を受ける際のポイントになっています。

 

(4)耳鳴りの立証ポイント

耳鳴りを立証するには、医学的に耳鳴りの症状が起きていることを立証する必要があります。こうした検査をする方法として、「ピッチ・マッチ検査」「ラウドネス・バランス検査」があります。

 

また、こうした科学的根拠がなくとも、医学的に耳鳴りの存在を証明できる場合に後遺障害認定が受けられます。したがって、医療機関にて正式に診断結果を受けておくことが大事です。

 

■耳の障害の慰謝料の相場はどれくらい?

 

耳の後遺障害認定を受けられた場合には、認定された等級によって慰謝料を受け取ることが可能です。参考になる相場は3つありますが、その中でも一番高い「弁護士基準」の相場を紹介します。(※括弧内は弁護士を使わない自賠責保険基準の場合)

 

後遺障害認定をされた等級

弁護士基準の後遺障害慰謝料

後遺障害等級4級認定を受けた場合

1,670万円(自賠責:712万円)

後遺障害等級6級認定を受けた場合

1,180万円(自賠責:498万円)

後遺障害等級7級認定を受けた場合

1,000万円(自賠責:409万円)

後遺障害等級9級認定を受けた場合

690万円(自賠責:324万円)

後遺障害等級10級認定を受けた場合

550万円(自賠責:187万円)

後遺障害等級11級認定を受けた場合

420万円(自賠責:135万円)

後遺障害等級12級認定を受けた場合

290万円(自賠責:93万円)

後遺障害等級13級認定を受けた場合

180万円(自賠責:57万円)

後遺障害等級14級認定を受けた場合

110万円(自賠責:32万円)

※後遺障害慰謝料には、自賠責保険基準任意保険基準弁護士基準裁判基準)の三つがあります。弁護士に依頼すると慰謝料の増額が見込めます。詳細はこちら:弁護士に依頼すれば示談額が増える訳(3種類の慰謝料支払い基準)

 

こうした慰謝料のほか、加害者から逸失利益を受け取ることも可能です。この逸失利益は、後遺症によって手に入れられなくなってしまった将来の給料・賃金です。これを加害者から保証してもらえることになっています。

 

■まとめ:耳の後遺障害認定なら弁護士に依頼しよう

 

耳の後遺障害について見てきましたがいかがでしたか。耳の障害は4つに分類することができ、該当する障害によって補償内容が異なります。耳の後遺障害認定を受ける場合には、弁護士に依頼をすることをおすすめします。この理由は、耳の後遺障害は、他の後遺障害と併合して起きる可能性があるからです。

 

しかし、後遺障害の知識がない被害者の方では、加害者(保険会社)の都合によって進んでしまいます。その結果、本来請求できる慰謝料も請求できないことがあるのです。

 

こうした被害者の権利を守るためにも、弁護士に依頼しておくといいでしょう。あらかじめ弁護士に依頼をしておけば、被害者の保護に努めてくれて、適正な慰謝料・逸失利益を請求できるようになります

 

ですから、医療機関でしっかりとした診断を受けて、加害者(保険会社)に慰謝料を請求するといいでしょう。もし、後遺障害で不安なことがあれば、早期に弁護士に相談するのも1つの方法です。弁護士と言った心強い味方をつけて、後遺障害認定を受けるようにすると良いでしょう。

 

埼玉県越谷市にある当エクレシア法律事務所も、後遺障害を伴う交通事故被害者の味方となり、全力でサポートして参ります。越谷市内に限らず、周辺の町(川口市、春日部市、草加市、八潮市、吉川市、三郷市、東京都足立区、千葉県流山市、松戸市など)の方も小相談ください。お電話・メールをお待ちしております。

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